■アンセムレポート6
扉を開いた夜に観測された無数の流星。
それを構成していたとみられる物質について研究を進めている。
まったく未知の物質だ。 弾力性に富んでおり、断片同士を密着させると容易に結合する。
文献をあたってみたものの、 このような物質が採取された記録は存在しなかった。
私が扉を開いたことによって、初めてッ地上に降りそそいだということか。
この小さな世界をつつむ無限の空間には、 こうした物質が無数に漂っているのだろうか。
できることなら夜空へ飛び立ち、真理を探求したいものだ。
あの天のどこかに、私の知らない世界があるのではないか。 好奇心は強まるばかりだ。
…いや、かなわぬ夢を語るのはよそう。
世界の外に出る方法は、今のところ存在しない。
私も他の者たち、この小さな世界にとらわれた囚人でしかない。
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