■裏アンセムレポート10
忘却の城で記憶を失ったソラは、本来の記憶を
取り戻すため眠りについたが、彼が生まれてから
過ごしてきた歳月の記憶を全て回復するには
かなりの時間が要するものと思われた。
だが忘却の城は13機関が支配していた地だ。
より安全な場所でソラを保護せねばならない。
私はナミネを説得し、眠る空をトワイライト
タウンに移して守ることにした。
ナミネ。
以前も書いたが、彼女は極めて特異な存在だ。
ノーバディと同じ過程で生まれはしたものの、
ノーバディとしての要素がほぼ欠落している。
彼女が絵を描きつづけているのは、自らに欠けた
ものは、他者の……主にソラの記憶から補うため
かもしれぬ。
私は一つの仮説に至った。
ナミネが特異なノーバディとして生まれたのは、
かつてソラが自らにキーブレードをふるい、
ソラとカイリの”心”が同時に肉体を離れた時
だと思われる。
ナミネは、カイリのノーバディとして生じた。
だがノーバディとして在るためにはもちいた媒介は、
ソラの肉体と魂だった……。
人が心を奪われる時、自我無きハートレスが
生まれ、残された肉体と魂はノーバディを生む
媒介となる。
だが自らの意思で肉体から解き放った者は?
ソラとゼアノートは、ハートレスと化しても
自我を保っていた。
そしてカイリとナミネのケース。
カイリの心に闇が存在しなかったという例外と、
カイリから離れた心が、ソラという器に移った
という例外……理論上ありえない例外が
重なったことが原因ではないだろうか。
ソラが眠っている間に、私は私の成すべきことを
しよう。
リクという新たな協力者も現れた。
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