■裏アンセムレポート9
さすがはキーブレードの勇者といったところか。 ソラたちは13機関の陰謀を退け、ナミネを 救出した。
ナミネは他者の記憶を操る魔女であった。 その能力は彼女が特殊な過程で生まれたことで 得られたものであろう。
ナミネはある”少女”の心が肉体を離れた際に 生まれたノーバディである。 だが彼女には対となるハートレスが存在しない。
それは”少女”がプリンセスだったからだ。 かつて私が治めていた世界”輝ける庭”の 住人であった”カイリ”は、光の世界を支える 7人のプリセンスのひとりであった。 心に闇を持たないカイリからは、ハートレスは 発生せず、消え去るはずの肉体も、光の世界に とどまった。
つまりナミネというノーバディは、心を失った 証であるハートレスも、ノーバディに新生する 媒介となる肉体も欠落した、極めて不安定な 存在であり、それゆえにカイリとしての記憶も とどめていない。 肉体を離れたカイリの心が、闇に回帰せずに 別の器……ソラの心の奥へ隠れたことも要因の ひとつであろう。
すなわちナミネとは、ソラの心に直接干渉した カイリの分身であり、だからこそソラや、ソラと つながる心を持つものたちの記憶を操れたのでは なかろうきあ。
彼女は真の意味で”存在しないもの”であり、 もっともはかない影である。
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